「声のマニュアル」

最近、駅構内や大型商業施設内でAEDを見かけることが多くなりました。AEDとは、自動体外式除細動器のことで、心肺蘇生を行うことを目的として心臓に電気ショックを与え、正常な動きに戻すための医療機器です。2004年7月からは、緊急の場に居合わせた一般市民も使用できることになっています。

この装置、どうやって使うのかというと、使用時に音声案内が自動で流れ、それにしたがって操作していけばいいようになっています。いわば、声のマニュアルがついているのです。

ここで、音声は非常に重要な役割を果たしています。
AEDでは、「いつ何をどう操作すればいいか」という情報を伝えるために、音声情報が持つ「時間軸」という特性を、最大限に生かしています。音声は、文字の説明書とは違い、操作の順序とタイミングの両方について指示が出せるのです。
もし文字で「10秒たったらこうします、さらに30秒様子を見てからこうします」などと書いてあっても、一刻を争う現場では混乱するばかりでしょう。

このような、操作の手順とタイミングとを合わせる必要がある製品といえば、身近なところではカーナビゲーションがあります。こちらは、状況に応じてタイミングよく指示を出すところに、各メーカーのノウハウがあるようです。

音声案内によって初めてでも使えるようになっているAEDですが、緊急時に落ち着いて使えるかどうかは、自分次第。消防署や日本赤十字社で開催されている講習会を受講して、一度体験しておくのもいいかもしれません。

(佐)