音脈分凝(おんみゃくぶんぎょう)と読みます。これは、以前紹介した音の錯覚のひとつです。どういう現象かというと、2つの異なる単一周波数の音声を交互に鳴らします。
2つの単一周波数の音の時間間隔を狭めていきます。
すると、2つの単一周波数交互に鳴らす時間間隔を175[ms]ぐらいのときは、歩いているように聞こえます。(1つのつながった音として聞こえます。)
この間隔を狭めていくと、走っているように聞こえ始めます。まだ、この段階では1つのつながった音として聞こえていますが、最後時間間隔をなくすと2つの別々の音が鳴っているように聞こえてしまいます。(個人差があり、聞こえない場合もあります。)
例えば、次のようになります。
2音の時間間隔:175[ms](9秒)
2音の時間間隔:75[ms](9秒)
2音の時間間隔:0[ms](9秒)
こんな現象何か意味あるのか?と思いますが、実際に過去の作品などにこの現象をたくみに利用されているものがあります。例えば、バッハの無伴奏チェロ組曲がそうです。
調べてみたところですが、楽譜上は単旋律しかないように見えるのですが、実際にはこの現象が利用されていて意識して弾くと2つのメロディーラインが浮かび上がってくるそうです。
他にもこのような音の錯覚の現象があるので、またの機会に紹介いたします。
(篤)