音階その2

前回の記事で、音階は、1.5倍ずつ高くしていくと、「ド」→「ソ」→「レ」→「ラ」→「ミ」→・・・となっていき丁度12音で概ね同じ「ド」に戻ってくることから12音階になるという説明をしましたが、少々訂正するところがあります。
2つの音を同時に鳴らす際、周波数がなるべく単純な整数比になるほど調和の取れた音(ハーモニー)になることが知られています。
整数倍だとオクターブになるので、次に最も単純な比率が「3:2」であり、これが「ド」と「ソ」の関係になります。その次に最も単純な比率は「4:3」であり、これが「ド」と「ファ」の関係になります。そして、1オクターブを12分割すると、どれも単純な整数比に比較的近くなることが分かっています。
2^(1/12)~=16/15, 2^(2/12)~=9/8, 2^(3/12)~=6/5, …
故に、前回の記事の最後で述べた4/3倍ずつの音階を考えるというのは、あまり意味のある考えになっていませんでした。
ただ、「ド」から1.5倍ずつ高くしていった最初の5音である「ドレミソラ」は、日本ではヨナ抜き音階として知られており、それ以外にも世界各地の古典音楽で見られる最も基本的な音階であり、そこから拡張していって12音階の発想が生まれたというのは、そう間違ってはいないのではないかと思っています。
ちなみに、「ド」から3/2倍ずつ音の高さを上げて、最初の音から1オクターブ超えたらオクターブ下げる、という作業を繰り返していくと(1, 1.5, 2.25->1.125, …)、丁度12音で1.01と誤差1%程度で「ド」に戻ってきますが、これを4/3倍ずつでやっていくと、同じ程度の誤差になるためには、41音も必要であることが計算してみると分かりました・・・。この点でも残念ながら、音の種類が多くなりすぎて、あまり実用的でない音階になりそうです。
尚、1オクターブを12以外の数で等分した音階は、既にいくつかあり、15音階や、22音階などの曲があるようです(※リンク先はYouTube動画)。聞いてみた私の感想としては、12音階脳になってしまっているのか、現代音楽的な不気味さが漂よう曲に聞こえます・・・。なかなか今までにない新たな音階というのは難しいですね。

(浩)