音楽で使う音の種類といえば、ド、レ、ミ・・・いわゆる音階を思い浮かべると思います。
一般に、「ラ」の音は凡そ440Hzで、種類は半音階(#や[E:#x266D])を含めて12種類とされていますが、皆が思い浮かべる「ド」の音の高さは誰が決めているのか、なぜ12種類なのか、疑問に思ったことはありませんか?
国や地域、年代によって全く異なるものでも不思議ではないような気がします。
実際、音の高さについては、同じ「ラ」の音でも昔はもっと低く、バッハの時代は、今よりも半音近く低かったと言われています。ところが同じ曲でも、少しだけ音程を上ずらせて演奏すると、本来の音程よりも良いように聞こえてしまうことが知られており、段々と高くなっていったようです。
音は、絶対的な音の高さよりも相対変化の方が重要(相対音感)で、曲全体の高さを変更(移調)しても曲調は変わらないため、あまり音の高さの定義は問題にならなかったということですね。
私が学生時代所属していたオーケストラでは、「ラ」の音を440Hzではなく、442Hzで調整していました。
海外のオーケストラでは現在、もっと高く設定しているところもあるようです。
1000年後の「ラ」の音はどうなっているんでしょうか。
あんまり高くなりすぎると、どこかで1オクターブ落とさないと、歌うのに困ってしまうような気がします。
一方、音の種類の方は、物理的・数学的な特性に基づいて定着していったものなので、厳密には細かな違いがあるものの、概ね世界中で大きくは変わらないというのは、大変興味深いものです。
音とは、物体の振動が空気の振動(音波)として伝わるもので、振動数の比率が単純な整数になるものを組み合わせると、調和の取れた音(ハーモニー)になることから音階の概念が生まれました。
例えば、「ド」の2倍の振動数の音は、1オクターブ上の同じ、「ド」という音になります。
「ド」の1.5倍上(比率的には「2:3」の振動数)の音が「ソ」、「ソ」の1.5倍上の音が「レ」のようにして、ドレミ・・・が生まれたと考えられています。
ここら辺の詳しい話は、ここ(調律について)がわかりやすいです。
純正律からシントニックコンマの問題、紆余曲折を経て平均律が生まれるまでの過程が実際に音を聴き比べながら理解することができます。
この12音階から大きく外れた音楽は、クラシックを経て現代音楽と呼ばれるジャンルで模索されていますが、
やはり数学的な理論に基づくハーモニーは強固なもので、大きく注目されるような全く異なる理論に基づく新音楽というのは、なかなか生まれないようです。