言葉を話す以外にも、人は日常的に体のあちこちを鳴らしてコミュニケーションを行っています。 咳払い、舌打ち、口笛、足踏み、指を鳴らす、などなど。改めて考えてみると、言葉を選ばなくても、ちょっとした音を出すことによって合図を送ったり感情を表せる、かなり便利な表現です。拍手などは代表的なものですね。
先日テレビをつけたら、学生さんが教室でお芝居をしている場面が映りました。演じ手も観客も聴覚障害者の方でした。セリフはもちろんすべて手話。
そしてお芝居が終わると、観客は一斉に両手を頭の高さまで上げて、手をひらひらと振り始めたのです。キラキラ星の振り付けみたいに。
そうか、拍手をしても音が伝わらないから、目で見える形でこんな風に表現するんだ! 一生懸命手をたたいても、音の大きさは伝わらない。手をたくさんヒラヒラさせればその分気持ちが伝わる。
考えたこともなかった私には、とても新鮮でドキっとするシーンでした。相手に届かなくては意味がないんですよね。
(津)