いつの間にか朝夕は涼しくなり、日が暮れれば秋の虫の音が聞こえてくるようになりました。日本には、秋の虫の音を楽しむという風流な文化があり、虫に関する多くの擬音があります。
「蟲のこゑ」(文部省唱歌)
一、
あれ 松蟲が鳴いてゐる
ちんちろちんちろ ちんちろりん
あれ 鈴蟲も鳴き出した
りんりんりんりん りいんりん
秋の夜長を鳴き通す
ああ おもしろい蟲のこゑ
二、
きりきりきりきり こほろぎや、
がちやがちやがちやがちや くつわ蟲、
あとから馬おひおひついて
ちよんちよんちよんちよん すいつちよん
秋の夜長を鳴き通す
ああ おもしろい蟲のこゑ
ある世代以上だと、この虫はこう鳴くという擬音がすぐに連想できると思いますが、私はちょっと怪しいです。近所では「リリー、リリー」という虫の音がよく聞こえますが、その擬音に当てはまるのは、どうやらアオマツムシのようです。
「虫が鳴く」と言っても、口ではなく、羽をこすり合わせることによって音を出しているのですが、「鳴く」という表現にも趣がありますね。
(佐)