音楽は耳で楽しむもの。
当たり前のようにそう思っていましたが、聴覚障害者向けのコンサートという一つの試みを目にしたことがありました。耳の聞こえない方がどうやって音楽を楽しむのか。それは和太鼓の演奏で、リズムを体感するというものでした。太鼓の音には遠くまで空気を震わす特徴があって、近くで聞くとおなかに響きますね。このコンサートではそれだけでなく、観客がそれぞれに大きな風船を一つ、両手で持っています。太鼓が空気を震わせ、空気の入った風船を持つことで、よりハッキリと太鼓のリズムを感じることができるというのです。そして演奏が始まりました。ステージに並んだ太鼓の音が、リズミカルにホールに響き渡ります。すると観客席からはどよめきが上り、驚いたような笑顔が漏れ、みな熱心に振動を感じていました。
コミュニケーションにはたくさんの可能性があるようです。
(津)