調律の話

趣味でギターを弾いたり、子供の頃にピアノやバイオリンを習った方も多いと思います。個人でギターやバイオリンを弾く前には、調弦をして弦と弦の音の高さを整えます。バンドやオーケストラなどの団体では、演奏を始める前にチューニングをみんなでして、楽器と楽器の音の高さを整えます。これによって、高さにずれがなくなり、きれいに鳴るわけです。ピアノの場合は、調律という言葉を聞いたことがあると思いますが、ようは同じことです。

ピアノの場合に違うのは、ほかの楽器はほとんど演奏者自身でチューニング(調律)をしますが、ピアノは調律師という専門の職業の人たちが作業をすることです。ピアノの場合、音の数が鍵盤の数だけありますし、その弦の張力も大変なものなので(ピアノ1台で2トンにもなるそうです)専門職でないと無理なわけです。調律師は、耳を訓練することも必要で、一人前になるには10年かかるなどといわれます。

ホールなどに行くとほとんど必ずピアノがあるので、ピアニストはふつう演奏会場のピアノで演奏しますが、世界的に有名なピアニストには、自分の好みのピアノを持ち込み、お抱えの調律師に調律させるという、なんともぜいたくなことをする人もいます。これは、音の高さを合わせればよいというものでない、調律師の仕事の奥深さと幅広さを意味しているのですが、話が長くなるのでこのへんで。

(斎)