暑い夏の話題が続きましたが、今日は、音で気温を測るお話です。
理科で次のような式を習ったのを覚えていますか?
v = 0.6 × t + 331 [式1]
ここで、音速がv(m/秒)、気温がt(℃)です。たとえば気温が15℃の時の音速を計算すると、340m/秒。時速になおすと1224km/時。これが15℃のときのマッハ1です。
[式1]を書き換えると、
t = (v - 331) / 0.6 [式2]
となります。[式2]を使うと、たとえば音速が352メートル/秒のときの気温は、「35℃」というふうに計算できます。
マイクとスピーカを10m離しておいて、スピーカから音を出してマイクで録音します。スピーカから出た音がマイクに29ミリ秒(0.029秒)後に届いたとすると、そのときの音速は約344.8メートル/秒(=10/0.029)。[式2]で気温を計算すると、「23℃」と求まります。
さて、従来の温度計の問題をご存知でしょうか?従来の温度計は気温を測っているのではなくて、実は温度計の温度を測っているのです。なので、温度計をその場所に十分長い時間おいて、温度計の温度を気温と同じにする必要があります。ここで紹介した方法は、マイクやスピーカの温度を測っている訳ではなく、それらの間にある空気の気温を瞬時に測っています。気温がはやく変化するような場合でも測定できる優れものなんです。
(太)