FAZIOLI

スポーツの祭典・東京五輪が、1年の延期を経ていよいよ開催されますが、若手ピアニストたちが競い合う祭典として知られるショパンコンクールも同じ状況でした。
ショパンコンクールは、ショパンの故郷であるポーランドを舞台に、彼の命日の10月に優勝を決めるスケジュールで5年に1度開催されます。
本来開催を予定していた2020年は、新型コロナウイルスの影響から延期となり、ようやく「予備予選」からスタートするという状況です。

ピアノコンクールでは、主催側がピアノを用意しており、出場者が使いたいピアノを指定する方式で実施されます。ショパンコンクールでは現在、スタインウェイ、ヤマハ、カワイ、そしてFAZIOLI(ファツィオリ)の4社のピアノが公式ピアノになっています。

FAZIOLIは1981年にピアノ製造を始めた、この世界では新興のイタリアのピアノメーカーです。
独自の設計を取り入れ、徹底した手作業で作り込むという方法で、超高級モデルのみを年間わずかに120台程度だけ生産しているという、極めて「我が道」を行く運営をしています。
創業者パオロ・ファツィオリの父は家具職人で、本人はピアノの勉強と工学の勉強を身に着けた結果として創業に至ったそうです。
歴史の長い世界に斬り込んだ成功例としても、参考になりそうです。
さまざまなコンクールで公式ピアノに採用され、FAZIOLIを弾いた出場者も上位入賞などの実績を上げてきています。

とはいえ、「最高のピアノ」の評価は長らくスタインウェイの独壇場で、日本のヤマハもショパンコンクールで演奏者が優勝したのは2010年が初めてでした。2015年はスタインウェイの演奏者が優勝しています。
コンクールの審査はすべて人が判断を下していますが、ピアノ自体の音も影響しているのかどうか…(審査員の目の前で演奏しますので、弾いているピアノが何かはみんなわかっています)
今回は、まず無事に最後まで開催されるのか、そして誰が優勝するのかと共に、どのピアノが選ばれるのかも興味深く見守りたいです。

 

(才)