低い音の力

高い音と低い音、物理的には周波数が違うだけですが、人間が聞くときにはそれぞれ特徴があります。
ある音が他の音を邪魔して聞こえにくくしたり聞こえなくしたりすることを「マスキング」といいますが、高い音は低い音をあまりマスキングせず、低い音は高い音をマスキングしやすいという特徴があります。
これは人間の聴覚の仕組みからくる現象です。この現象は実生活でも体感できます。

例えば、プライバシーに配慮して人の声を聞こえにくくしたい場合には、人間の声よりも低い音を含む音を流すほうが効果的です。
BGMを流す時も、より低い音を強調したほうが効果的ということになります。

オーケストラの弦楽器の編成は、通常はバイオリンなどの高音楽器ほど人数が多く、コントラバスなどの低音楽器は人数が少なくなっています。
これも、低音の楽器は高音の楽器に比べてマスキングされにくいため、このような人数バランスになっています。高音の楽器は低音の楽器にマスキングされてしまうので、人数を多くしないと聞こえないのです。

つまり、他の音を邪魔したいときや、他の音に邪魔されたくないときには低い音を使えばいいということになります。
低い音のほうがなんだか得な気がしますね。
しかし言い方をかえると迷惑な音ということなので、使い方には気を付けましょう。

(翔)