見えなくても、わかる

イルカやクジラは、エコーロケーション(反響定位)という行動をします。
クリック音と呼ばれる短い音をカチカチと鳴らして、対象物からの反響音を聞き、その位置や形などを把握するものです。

このエコーロケーションを、人間も訓練を重ねるとできるようになる可能性を持っています。

ある全盲の男性を紹介している映像を見て、大変驚きました。
彼は周囲に何があるのかをほぼ正確に把握していました。
家事をこなしたり自転車に乗ったり、目が見える人と変わらない日常を送っています。
それを可能にしているのは、エコーロケーションでした。
舌を鳴らしてクリック音を出し、反響音を聞けば、そこにある物体の大きさや形、位置がわかるとのこと。
日常的になじみのある場所に限るのでは?と疑問も浮かびましたが、彼は初めて訪れた公園に置いてある戦車の前に立ち、その形も当てて見せました。
また、形だけでなく素材の違いもわかるとのこと。硬いものはクリック音と反響音の周波数がほとんど変わらず、木のような柔らかいものは周波数が半分くらいになる、などの違いを聞き分けているそうです。

彼がエコーロケーションをできるようになったのは、他の人から教わり、練習を重ねた結果です。そして彼もこの経験をいかし、他の視覚障害者にエコーロケーションを教えているそうです。

人間には色々な可能性があることを改めて考えさせられました。

(津)