「奥志賀で収録したコノハズクの声」

夏の風物詩の声として親しまれていたコノハズクの声が15年位前から各地の有名な生息地では聞かれなくなりました。コノハズクは夏鳥として、東南アジアから渡ってきます。5月初旬~7月初旬に子育てするのに適した深い原生林が無くなり、原生林が残っても周りには道路ができて車の騒音が夜中じゅう聞こえ、原生林の周りが明るくなり子育ができ難い環境になったためと思われます。フクロウ科の鳥ですのでヘッドランプの明りは嫌うのだと思われます。

20年位前までは富士山麓の青木が原樹海では夜中じゅう鳴き声が聞けました。4年前に捜し求めましたが青木が原で声を聞くことができませんでした。周囲から自動車の騒音や光が入りこみ生息できない環境になっていると思われます。

3年前から場所をかえて夜には車が入らない奥志賀に絞り捜し求めた結果、現地の人からももう声が聞けないと言われておりましたが、今年ようやく奥志賀の3箇所で収録ができました。奥志賀で2匹が鳴いている貴重な音声を掲載しますのでお聞きください。遠くで鳴いているために声がかなり小さいです。

・「コノハズクの鳴き声」:2007年6月12日 21時40分 奥志賀(12秒)

 録音機材:Roland R-09、外部マイク:SONY ECM-T15
 録音条件:44KHz、16Bit、PCMステレオ録音

・「コノハズク」ついて:
全長約20cmの小さなフクロウ。「ブッ・ポウ・ソウ(仏法僧)」と鳴く、その鳴き声から「声の仏法僧」の別名を持つ。昔は鳳来山でコノハズクが鳴き名物になったことから、愛知県の県鳥に指定されている。近年は鳳来山でコノハズクが鳴いているという情報は無い。

・「収録情報」について:
夕暮れ時から鳴き出して、10時頃までしか鳴かなかった。前日鳴いた同場所で、翌日鳴き声が全く聞けなかった。前日に比べ気温が低かったために餌が採れず鳴かないのではないか。信州大教育学部生態学研究室中村浩志教授の話によると夜に蛾や小さい昆虫を餌として採取している。騒音が無い、周囲が明るくない、巣作りに適した深い原生林にしか生息できないと思われる。

(河)