大昔の絵を見ることはできますが、エジソン以前の昔の音/声は聞くことができません。
私が幼少の頃、蒙古の英雄を「成吉思汗(ジンギス・カン)」と習いましたが、現在は原語の発音に忠実に「チンギス・ハン」のほうが一般的です。でもなぜ12世紀の日本人は「ハン」を「カン」とカン違いしたのでしょうか?これはカン違いではありません。驚くなかれ、当時日本には「ha」と発音する日本語が無かったのです。やむを得ず「han」に一番似通った音である「カン」を当てたのです。
清音と濁音の関係について、100年前の明治時代に上田万年という学者が面白い発見をしました。「か→が」 「さ→ざ」 「た→だ」 「は→ば」これを口に出して読んでみてください。か行、さ行、た行の清音と濁音では、唇と舌の形が殆ど同じですが、は行の清音と濁音では、唇の形が全く違っています。何故でしょう?この問題は、「は」を「pa」と発音することにより解決されます。
「は」の発音は上古時代には「pa」、その後「Φa」になってから現在の「ha」に変化したというのが定説だそうです。
昔、「母」は「papa」と呼ばれていたのです。
(兼)