平均律と純正律

音楽の楽しみの一つは美しいハーモニーだと思いますが、ハーモニーを構成する音階に、幾つもの種類があることは意外と知られてないのではないでしょうか?

昔から、二つ以上の音を一緒に鳴らすとき、その周波数の比率が単純な整数比率だと響きが良い、と言われてきました。

それでは、ということで和音が美しくなるように、ドとソの周波数比を2:3、ドとミの周波数比を4:5のように決めた音階を「純正律」といいます。たとえば純正律でドミソの和音を出すと、周波数比は4:5:6になります。

純正律は単純な整数比率になる音の組み合わせが多く、きれいな響きが得られやすいのですが、いろいろと弱点があります。たとえば音の組み合わせによってうなりのような音が聴こえてしまったり、音程の幅が一定でなく、音の並び方が不均等なので、転調や移調がしにくいといったことです。

こういった弱点を克服するため、いろいろな人がいろいろな方法で音階の定義の仕方を考えてきました。そのうちのひとつで、現在最も普及しているのが「平均律」です。

平均律は1オクターブの音程を均等な周波数比で分割した音律です。半音の比率は常に1:1^(1/12)(2の12乗根)になります。ですので、平均律のドミソの周波数比ははおよそ4:5.04:5.99となって、純正律から比べると明らかに響きが劣ります。ある意味、妥協の産物といえるでしょう。

しかし音程の幅が一定なので、どの音の間でも同じ音程なら同じ響きになりますし、転調や移調もできます。

たとえば調律のとき、純正律だったら二つの音を同時に鳴らして、うねりが聞こえなくなるようにすれば簡単に調律できますが、平均律だとそうはいきません。ピアノの調律は専門家が行うのは、こんなことも理由になっています。

(渉)