「サラウンド」

私は映画が好きでよく観ますが、「映画は音だ」とよく言われるとおり、ウチのTVで観る映画と、映画館で観る映画とは、臨場感がまったく違いますよね。

映画館にはスクリーン方向以外にも、10~30本のスピーカーが設置されていて、後方や側面の効果音の再生に使われています。サラウンドは「取り囲む」という意味で、音に取り囲まれるということですね。

ヒトは、視覚から最も多くの情報を得ますが、視覚には不得意なこともあります。それは一言で言ってしまえば、方向があらかじめ決まっていて、かつ明るくないと見ることができない、ということです。どっちを見ればよいのかわかっていて、それが見える場合には、その対象の情報を詳細に得ることができるわけですね。

これに対して聴覚は、時間や方向を検知するのが得意な感覚です。(ただし、二つの耳が水平についているので、垂直方向の方向検知は苦手。)

脳の聴覚をつかさどるニューロンは、他のどのニューロンよりも速いスピードで発火するそうです。危険や事件はまず耳に入り、方向を判定し、そして頭を動かして目で詳細な情報を得る、という順番なんですね。

映画では、こういった感覚の得意・不得意を上手に演出に取り入れて、臨場感を増しています。

画面上では未来への不安をうかべた表情の主人公、そして後方のスピーカーからは遠い雷鳴の音…
あるいは画面では幸せな家庭を描写し、突然後方から電話の音が… これだけでも観客は不安になります。

最近は地デジTVでも5.1chサラウンドの放送をしていますし、5.1chサラウンドのスピーカー・アンプのセットも安くなってきて、家庭で楽しめるようになってきました。家庭でもサラウンドで映画を楽しんでみてはいかがでしょうか。

(渉)