音は情報のピース

先日、台風に備えて、家の浴槽に水を貯めました。しかし、貯めている最中に他のことに集中してしまい、時が経つのを忘れてしまいました。風呂場の方から「ザーザー」と、浴槽から水が溢れる音が聴こえてきて、慌てて水を止めに行きました。
この「ザーザー」という音が、浴槽を視界と意識から外してしまっていた私に、水が溢れていることを教えてくれたのです。このように、死角からも届き、傾聴していなくても意識を引きつけるトリガーになるというのは、音の重要な役割だと思います。
ただし、この音だけでは、おそらく何の音なのかわかりません。私には、浴槽に水を貯めはじめてからそれなりに時間が経過したという記憶があり、それを組み合わせて音の正体を理解しました。音が何でもよいわけではありません。よくわからないながらもそれらしい音が、それらしい方向から聴こえてきたからこそ、理解に至ったのです。

音は、言わば情報のピースであり、他の情報と組み合わせることで、価値を発揮する場面が多いと思います。そして、私たち人間は、情報を組み合わせる思考を、ごく自然に、無意識のうちに行っていると思います。そこに意識が向いたことで、人間のおもしろさを再認識しました。

(祐)