音の記憶

インターネットで全てがつながっている今の世界について、情報の洪水が起きていると表現されているのをよく目にします。情報があり過ぎて全て収集しようとすると日が暮れてしまい、本当に必要な情報だけを知り、活用するための取捨選択のスキルが重要になっていると感じます。

情報の取捨選択のスキルは今後身に付けていくとして、人間が生まれながらにして持っている「音の取捨選択」、こちらはスキルというよりアビリティですが、それについてお話したいと思います。

人間は生きているほとんどの時間を何らかの音と共に生活しますが、その音を一つ一つ意識する事は滅多にないと思います。今私はオフィスにいますが、プリンターが印刷物を吐き出す音、机の引き出しを引く音、話し声、革靴の足音、サンダルの足音、お客様の笑い声、キーボードを叩く音、紙をめくる音など、普段全く意識などしていませんが、挙げきれない程の音が聞こえている状態にあります。

これらの音は、例えば「これは紙をめくる音だよ」と言われて覚えたワケではありません。紙をめくった時に発生する音を何度も聞いていく中で「これは紙をめくる音だ」と自動的に音の記憶が追加されていくわけです。その結果、情報のように取捨選択する必要は全くなく、無数の音を無意識のうちに記憶し、区別することができるようになります。
このとてつもない能力のおかげで、今後も増えていく様々な音を私たちは記憶していくことができるのです。

(路)