サウンドスケープという言葉をご存知でしょうか?
Sound(音)と~scape(~の眺め)の複合語で、視覚的な景観(landscape)に対して、音の風景とか聴覚的景観といったことを意味します。
カナダ人音楽家、Murray Schafer氏によって提唱されたもので、「視覚中心の西洋近代文明に対する反省と聴覚文化復権の試み」として活動しています。
サウンドスケープの例として、以下のようなものがあります。
オホーツク海の流氷(北海道)、山寺の蝉(山形県)、琴ヶ浜海岸の鳴き砂(島根県)、卯建の町の水琴窟(岐阜県)、博多祇園山笠のかき山笠(福岡県)等。
~環境庁の「残したい日本の音風景100選」より~
またサウンドスケープをデザインとして実践されている方も多く、我々の地元横浜でもこのような取り組みがなされています。
~日本初のサウンドスケープ橋「西鶴屋橋」~
JR横浜駅でも、朝は「小鳥のさえずり」音が流されています。
他にも身近な例として、鉄道の発車音や、商業施設でのBGM、車のドア音やエンジン音の「快音化」等も、サウンドスケープ・デザインです。
元来、日本人は音の情景には敏感で、時節の移り代わりを音で感じてきました。春には鶯、夏には風鈴、秋には虫の声、そして冬には雪の降る中、音の無き音を聴く。子供のときには、夕暮れ時は、鐘の音を合図に家に帰ったように覚えています。
昨今、人々は耳をヘッドホンで塞いで行き来しています。周りの音に耳を澄まし、季節の移ろいに気づく。そんな心の余裕も必要ですよね。
(一)