「笙(しょう)」「篳篥(ひちりき)」「龍笛(りゅうてき)」この3つが雅楽に欠かせない管楽器の代表的な楽器です。それぞれ「天」「地」「空」を表現しており、合奏することで宇宙を作り上げるのだといいます。
奈良時代から1300年間雅楽を世襲してきた樂家、東儀秀樹のコンサートを初めて訪れたのは5・6年前のことでした。ホテルの広間に響き渡る篳篥の音にすぐに全身鳥肌がたちました。十数年前に聞いた喜多郎のシンセサイザーも、シルクロードの情景が一瞬にして目の前に広がる感動を覚えていますが、さすが現存する世界最古の音、スケールが違います。全ての物質・思想・エネルギーをのみこむ宇宙空間が見えるのです。人間もまたひとつの宇宙なのだと知らされます。
東儀さんはそれを「音に細胞が反応する」と表現します。そんな彼はバイクや車好きでも知られていますが、外を走るオートバイの排気音だけで車種を言い当てることが出来たそうです。彼にとっては雅楽(古典)も排気音も歩く音もすべてが愛すべき音であり音楽なのだと語っていたのが印象的でした。
(晶)