先日、友人の勧めで「日日是好日(にちにちこれこうじつ)-『お茶』が教えてくれた15のしあわせ-」という本を読みました。エッセイストである森下典子さんが、20歳から習い始めた茶道を通して成長していく過程が、季節の移ろいとともに鮮やかに描かれています。
帛紗(ふくさ)を勢いよく左右に引っ張って「パン!」と音を立てる『ちり打ち』という動作があったり、お抹茶は最後にずずーっと音を立てて飲みきるのがお作法だったりと、“茶道はお淑やかにしずしずと”という勝手なイメージを持っていた私には、意外な発見がありました。
また、お湯が沸くにつれ茶室の中に響く「し、し、し、しー」という『松風』の音、『つくばい』の水面に流れる「チョロチョロチョロチョロ」というせせらぎの音…。目を閉じると自分がそこにいるかのような文章で、表現力豊かというのはこういうのをいうのだなと感じました。掛け軸、お花、和菓子などについても触れられていて、日本の伝統ってやっぱりいいなと、心がほっこりする本でもあります。
「日日是好日」は映画化され、主役の典子を黒木華さん、お茶の先生を9月に亡くなられた樹木希林さんが演じています。私はその二人の声をイメージしつつ読みました。映画は10月13日に公開になったばかり。本と同じく評判が良いようです。映像で…という方はこちらもぜひ。
(幸)