今でも脳裏に焼き付いている音楽の光景があります。
それは中学3年時の合唱コンクール、舞台からの光景です。
各種行事の中でも合唱コンクールは特に熱が入るイベントで、中学最後の中3ともなると、まさにサウナの熱気でした。
朝は皆で床に寝そべって行う発声練習から始まる毎日、その毎日に嫌気がさし、不真面目になる男子たちと、真面目な女子たちとの確執と和解のドラマなど、本番まで汗と涙の練習が数か月間続きました。
そして迎えた、合唱コンクール本番。
課題曲は「大地讃頌」。
重厚なピアノ伴奏が特徴のこの曲、懐かしいと思う方も多いのではないでしょうか。
その本番が始まって数秒後、
伴奏をしてくれていた女子の手がピタっと止まってしまいました。
そんなことは練習では皆無で、本番の極度の緊張がそうさせたのだと思います。
そこから、「40人ア・カペラ」。
伴奏なしを必死でカバーしようとする指揮者の汗、
記憶の伴奏をたよりに、ただ懸命に歌う皆の声、
観客席の人々の息を飲む音、
そして伴奏女性の涙。
練習だけではなく、本番でも汗と涙の光景・音声でした。
結果はというと、見事に優勝。
大人になって考えると、誰も責めはしないけれども、一人の女性を罪悪感から解き放つための先生方の票であったのかな、とも思いますが、お聞きしてみないとわかりません。
それを聞かないのも大人、
子供の頃の素敵な思い出です。
(武)