いつのまにか年末恒例となった感のある「今年の漢字」ですが、「漢字一字を選び、その年の世相を表す字であるとして決定、公表する日本漢字能力検定協会のキャンペーン」(ウィキペディア)だそうで、1995年(平成7年)開始とのこと。結構古くからやっているのですね。
21回目となる2015年は、「安」という字でしたが、安心安全から来たのではなく、むしろ逆にそれらが脅かされている世相が反映されたものと誰しもが感じたことと思います。
日本漢字能力検定協会「今年の漢字」のページ
さて、このイベントがTVで流れるのを眺めつつ、仕事柄「音」が含まれる漢字が気になり、主に漢字の成り立ちという観点から調べてみることにしました。すると世の中には同じようなことを考える人が多いようで、ネット上には解説がたくさん出てきます。そして、「音」が含まれる漢字、およびそれらの漢字を使った言葉が意外に多いことに気付かされました。
音の関係は「音」、暗い・覚えるは「暗」、考え・気持ち全般は「意」、大きい数字は「億」、考える・覚えるは「憶」または「臆」などなど、意味的にも広範囲になってきます。
さらには「暗闇」という熟語に出くわしました。音が二つも含まれていますが、一見すると音には関係なさそう・・・。
「音」は、見た目は「立」と「日」の組み合わせですが、実は「言」の一番下の「口」のなかに「一」を書き足し、「口の中の舌」を表したものが変化してできた漢字とのことで、成り立ちからは「言」に近く「口の中の舌」で「隠れている」、「外に発しない言葉」という意味を含んでいるそうです。言うか、言わないかで、言えば言葉になり、言わなければ音になるということでしょうか。
そして、意味を表す部分と発音を表す部分との2つの要素から成り立つ漢字のことを「形声文字」と言いますが、形声文字の中に「音」の字が(発音を表す部分として)用いられる場合、おおむね「視覚によらない」という解釈になるようです。
というわけで、「暗」は日が隠れるから暗く、「闇」は、「門」を閉じて光が入らず、視覚が効かない状態を表しているのだそうです。
我々からすると、そういった状態でも、音だけは常にそこにあるかのようで、音がまずます重要に感じられるのでした。