本当の協和とは

音楽は良い響きの和音で構成されています。
たとえば「ド・ミ・ソ」の和音は多くの人が聞いたことがあると思いますが、いい響きできれいな和音ですよね。
この和音がなぜいい響きなのかというと、ドの音に対してミとソはそれぞれ長三度と五度という関係であり、音楽理論ではこれらの関係の音で和音を構成するといい響きとなることが説明されているからです。
ではなぜこれらの関係にある音が響きがいいのでしょう?

これらの音がいい響きになることを発見したのはピタゴラスです。
中学で習う「ピタゴラスの定理」で知られる、あのピタゴラスです。
彼は周波数の関係が整数比で表されるような2音が協和することを発見しました。
先ほどの例でいえば、五度の関係が2:3、長三度の関係が4:5となっているため、「ド・ミ・ソ」の周波数比は4:5:6となり、単純な整数比で表されるため、きれいな響きとなります。

しかし、ここには一つ落とし穴があります。
実は、今の普通のピアノで「ド・ミ・ソ」を弾くと、その周波数比は4 : 5.040 : 5.993 となっていて、先ほどの4:5:6とは少しずつずれているのです。
つまり、小さい時から慣れ親しんできた現代のピアノの「ド・ミ・ソ」の音は、ピタゴラスが発見した完全なる協和ではありません。
なぜこのようになってしまったのでしょうか?
このように少しずれている理由は、ピアノを含む現在の楽器はすべて「平均律」という音階で調整されているか
らです。
この「平均律」が採用されるまでには、ピタゴラスの時代からの歴史で登場した「ピタゴラス音律」「純正律」などにみられる様々な苦悩がありますが、この話はまたいつか行います。

最後に、現代で一般的な平均律での「ド・ミ・ソ」と、ピタゴラスの「ド・ミ・ソ」の音を示します。
皆さんにはどちらの音が協和して聞こえるでしょうか?

平均律の音 (3秒):

ピタゴラス音律の音 (3秒):

(翔)