夏休みの終わりに、うちの息子が右手を腫らして帰ってきました。
アホみたいに走り回っているうちに転んだんだろうと思ってましたが、話を聞くと
- 階段の上から、おじさんが落ちてきて乗っかられた
- そのおじさんは、スマホを操作しながらヘッドホンで音楽を聴いていた若者とぶつかって足を滑らした
- 若者は、そういう騒ぎがあったことさえ気づかず、立ち去った
とのこと。
スマホで目を奪われ、ヘッドホンで耳を塞いでいる状態では、若者は本当に気づかなかったのかもしれません。
幸い息子の捻挫は軽く、先週の運動会の組み体操演技にも、なんとか間に合ったようです。
ヘッドホンの遮音性は、騒音環境下でS/N比改善に大きく影響を与える要素ですが、周囲の状況を把握し、危険を察知するという点で、課題があります。
音は360度。目で見ていない方向の危険にも気づくことができます。
後ろから来る自転車のベル、ブレーキ音、騒ぎ声、犬にほえられてるかもしれません。
耳を塞ぐのと逆に、電気自動車の場合は音が静かすぎるため、国交省ガイドラインでは、エンジンを使わずに時速20km以下で走る場合、「車両の走行状態を想起させる連続音」をスピーカーから出すよう定めています。
更に、オランダのドミノピザの電動宅配バイクは人の声をサンプリングし、エンジン音にして走らせたようです。
「ドミノ、ドミノ」と言って走っています。
情けは人のためならず。
嶺南大医大・司空埈教授の研究によると、ヘッドホンを毎日長時間使用すると小さい音が聞き取れなくなる可能性もあるとのこと。
聴力は一度低下すれば回復できないそうです。
目で見て、耳で聞いて、自分の身の周りの安全を確保することから、気遣いが生まれるのではないかと思います。
(一)