日頃私たちは音によって様々なことを判断していますが、茶道ではお湯の沸き具合を音で判断するそうです。千利休はお湯の沸き具合を「蚯音(きゅうおん)」「蟹眼(かいがん)」「連珠(れんじゅ)」「魚目(ぎょもく)」「松風(しょうふう)」の五つに分けて「松風」が一番良いとしたそうです。この内「蚯音」と「松風」が音を表しています。
※茶道用語の解説「湯相(ゆそう)」より
今の時代なら温度計でも最適なタイミングを見極められるでしょうが、それでは何の趣も感じられません。
茶道には縁がありませんが、同じように気泡の音でタイミングを見極めるものとしては揚げ物があります。材料を油に入れてから泡の大きさ・勢いを目で見るだけでなく、その音を聞いて揚がり具合を判断しています。泡が小さくなり、音が小さくなったら油から取り出します。揚がり具合だけでなく衣の出来によっても音が違うと思います。私は天ぷらが余り得意ではないので、美味しい天ぷら屋さんと音を聞き比べたら、私の音は重く、天ぷら屋さんの音は軽やかなのに違いありません。
(光)