「失語症リハビリ訓練により機能代償する場所はどこか」

慈恵医大で研究開発された全体構造法(JIST法)言語臨床理論をベースにした失語症リハビリ支援システム「花鼓」を使いリハビリ訓練した失語症患者さんがことばを話せるようになる機能回復について慈恵医大リハビリテーション医学科安保雅博教授がfMRIを使って研究しています。言語機能回復した脳の部位を測定した研究から、どの部位で機能代償しているのか分かって来ました。自然治癒でないとするため、失語症発症後1年以上経た慢性期の患者さんを言語訓練してことばがしゃべれるようになった患者さんに対して測定した結果です。

①損傷された左半球言語領域の回復
②左半球の残存領域における機能の再構成
③右半球による機能代償

左半球での言語分野の損傷が左半球の残存領域での代償と右半球による代償1)あるいは右半球で大部分が代償2)していると言えるようです。この研究成果を生かすことで言語訓練方法のより一層の進歩、発展が期待されてます。

全体構造法(JIST法)とは
ヴェルボトナル法をベース理論にして日本語の話しことばの再構築や言語獲得に適するよう研究開発された訓練手法・理論です。幼児の言語発達遅滞児の言語獲得にも使用されています。

参考文献:
1)M.Abo Language-related brain function during word repetition in post-stroke aphasics
——NEUROREPORT  Vol 15 No 12 26 August 2004
2)M.Abo Re-organization of language function within the right hemisphere
—–European Journal of Neurology 2007, 14: e7–e8

(河)