「雑踏」

「ふるさとの 訛なつかし 停車場の ひとごみのなかに そを聞きにゆく」とは石川啄木が詠んだ歌。雑踏の中で聞こえてくる音にも、郷愁や、いろいろなことを感じるものです。空港では、案内のアナウンスなど聞くと「出かけるんだな」という気分になります。

空港の雑踏(7秒)

駅や空港だけではありません。居酒屋で飲んでいる友人から電話がきたとき、取った瞬間に聞こえてくるすさまじい騒音?で、合流の誘いだとわかったりします。自分も参加したい気分のときは、その音に負けない声で応じますが、元気がないときには受け答えだけでも疲れますね・・・

これを逆手に取って、あたかも自分がそこにいるかのように、雑踏の音を流して電話する、というような話がありました。音からは話が外れますが、全国のみやげ物が手に入る「アリバイ横丁」なんていう、風情もへったくれもない、別の目的のためには便利な商店街もあったりします。最近ではあまり話題に上らなくなったように思いますが、携帯電話がテレビ電話やGPSまで搭載し、ネット通販でどこの品物も入手できる時代では、無理からぬ流れなのかもしれません。石川啄木の歌も、かつてはそうだった、と思わせるものになりつつあるようです。

(栽)