最近、トルコを旅行しました。
巨大なモスク(ドーム)の中でコーランが唱えられるのを聴いた時、あらためて残響が与える“心理的効果”を実感しました。
言葉は分からなくても、何だかおごそかな気持ちになるのは多分に残響の影響かと思います。宗派が違いますが、キリスト教でも、天井が高く残響の大きい教会で、同様の効果を感じます。
また、温度・湿度の違いによる音の伝わり方(伝播速度)も“心理的効果”に効いてくるのかもしれません。乾燥した気候のトルコの地で、澄み切った青空に、コーランを唱える声が響き渡るのは、なんだか人の心を感傷的にさせます。
もっとも、これらの“心理的効果”は、耳からの刺激だけによるものでなく、可聴域以外の音の成分(体感)、もっと支配的には、視覚から得られる情報と、先に刷り込まれている“知識”を結びつけることによる連想的・心象的なムーブメントなのでしょう。
(智)